自筆証書遺言書保管制度【法務局保管制度】について

文責:弁護士 岡﨑伸哉

作成日:2025年01月29日

1 はじめに

 今回は、「自筆証書遺言」について、「法務局保管制度」の基礎知識、作成時の注意点も含め、ご紹介をさせていただきたいと思います(法務省HP)。

 

 「自筆証書遺言」につきましては、以前の記事もご参照ください(『遺言の作成(自筆証書遺言)について』)。

2 自筆証書遺言・「法務局保管制度」のメリット・デメリットについて

<メリット>

● 公正証書遺言と同様に、死亡時に、「裁判所の検認」が不要であること(死亡後の手続きが比較的簡易)。

● 費用が安いこと(遺言作成時に必須な費用は、法務局に対する遺言の保管申請時の印紙代3900円のみ。その他では、住民票取得費用など)。

● 【指定者通知制度】の利用

  死亡時に、指定していた受遺者や遺言執行者に法務局から通知がいくこと。

      → 普段から被相続人と接する機会が少ない方についても、遺言者が亡くなったことを把握できる。

● 【関係遺言書保管通知】の利用

  相続人等のうち誰か一人が、遺言書保管所において遺言書の閲覧・遺言書情報証明書の交付を受けた場合、その他の相続人全員に対して、遺言書保管所に関係する遺言書が保管されている旨の通知が届くこと。

● せっかく本人が遺言書を作成しても、自宅に保管していることを誰も知らない、紛失や隠ぺいがなされたり改ざんされたりするリスクがあったが、通知制度や照会制度によって、遺言の隠蔽を防ぐことに役立つこと。

 

<デメリット>

▲ 公正証書遺言と比べ、遺言の内容自体は、遺言者自身が自筆しなければならないこと(ただし、財産目録等はパソコンで打ち出した書類、登記の現在事項証明書、通帳のコピーが利用できる。)。

▲ 「法務局保管制度」を利用するために、遺言書自体に少し様式があること。

▲ 「法務局保管制度」の申請に、遺言書保管制度に対応した法務局への訪問が必要であること(代理人による申請や郵送による申請はできない。)

▲ 遺言者の死亡後、遺言書情報証明書の交付請求を相続人や受遺者、遺言執行者がおこなわなければならないこと(公正証書遺言では、遺言者死亡後に、遺言が手元にあるのであれば、公正証書役場や法務局に訪問する必要ない。)。

  

3 「法務局保管制度」を利用するためには

⑴ A4用紙に、遺言を自書します。 

  余白部分として、上部5mm、下部10mm、左20mm、右5mm以上の余白を設けることをそれぞれ守ってください。

  なお、自書にあたり、財産目録、不動産登記情報、通帳のコピーを別紙とすることができ、これらは必ずしも自書する必要はありません(これら別紙にも上記余白を設けることは必要です。また、署名と押印は全ての書面に必要となります。通しでページ番号を振ってください。例 1/3 2/3 3/3)。

※ 片面のみ、両面は不可です。ホチキス止めはせずに提出します。

 

⑵ 「遺言書の保管申請書」を作成します。

 

⑶ 法務局に事前に予約を入れ(電話、インターネット)、予約日に必要書類等(遺言書、遺言書の保管申請書、顔写真付身分証明書、住民票※本籍及び筆頭者の記載入りであって、マイナンバーや住民票コードの記載のないもの、遺言に押印した印鑑等、手数料3900円)を持参します。

4 さいごに

 「自筆証書遺言」につきましては、紛争を防止・遺言制度を利用しやすくするために、【法務局保管制度】が創設されました。

 【法務局保管制度】につきましても、内容をどうするか、手続きを相談したいという点で相続に詳しい弁護士にご相談をされることをオススメします。

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