遺留分の時効

文責:弁護士 井川 卓磨

最終更新日:2024年04月22日

1 1年の時効

 遺留分を請求するにあたっては、時効があることに注意が必要です。

 具体的には、「相続の開始と遺留分を侵害するような贈与や遺贈があったことを知ったとき」から1年以内に遺留分の請求をする必要があります

 「相続の開始」とは、一般的に、被相続人が亡くなったときのことですから、もし被相続人が亡くなったことを知らなければ、この時効が進行することはありません。

 「遺留分を侵害するような贈与や遺贈があったことを知ったとき」というのは、一般的には、遺言書の内容を知ったときということが多いでしょう。

 すべての財産を自分以外の特定の相続人に相続させるような内容の遺言書になっている場合、その遺言書の内容を知れば、「遺留分を侵害するような贈与や遺贈があったことを知ったとき」にあたることになりますが、遺言書があることやその内容を知らなければ、基本的には、これにはあたらないでしょう。

 しかし、自分にも相続すべき財産があるような内容の遺言書である場合には、ただちに遺留分が侵害されているかどうかは分からないというケースもあります。

 そのような場合には、「遺留分を侵害するような贈与や遺贈があったことを知ったとき」にあたるかどうかというのは、判断が難しいケースがありますので、念のため、期間内に遺留分の請求だけはしておくことが無難です。

 この期間内に遺留分の請求をしていなければ、請求をされる側から消滅時効を援用されるおそれがあります

 この期間内に遺留分の請求をしたことは、遺留分を請求する側が証拠を残しておく必要があります。

 一般的には、配達証明付きの内容証明郵便によって、この期間内に遺留分の請求をしたことの証拠を残しておくという方法がとられます。

2 10年の期間制限

 遺留分の請求には、「相続開始の時から10年」という期間制限もあります

 厳密には、消滅時効は別の期間制限と解釈されているのですが、1年の時効と似たような制度であるとご理解ください。

 特に注意しなければならない相違点は、期間の長短と、遺留分を請求する側が相続の開始を知っていなくてもこの期間制限はあるという点です

 この期間は前のものに比べて非常に長い期間ではあるものの、だからこそ見落とすおそれもありますので、遺留分を請求するのであれば、この期間にも注意しましょう。

 こちらの記事では、認知症・未成年者などの遺留分侵害額請求権について具体的に紹介していますので、あわせてご覧ください。

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