遺産分割をする際の注意点
1 相続人全員の合意が必要
遺産分割協議は、相続人全員の合意があることが必要です。
相続人の一部が反対していたり、相続人の一部が欠けており、全員の合意が取れていない場合等、相続人全員の合意が確認できない遺産分割協議書は無効となりますので注意が必要です。
2 相続人の判断能力が十分でない場合
相続人の一人が未成年である場合、未成年であっても相続人であることには変わりがありませんので、その方も遺産分割協議の当事者の一人となります。
ただし、未成年者はまだ十分な判断能力を備えてはいませんので、未成年者が遺産分割協議に参加するにあたっては、代理人を選任する必要があります。
通常、未成年者の代理人は親権者が選任されます。
ただし、その親権者も相続人の一人である場合には、未成年者と親権者との間で利益が相反することになりますので、家庭裁判所に申し出を行い、特別代理人を選任することになります。
また、相続人が認知症や精神障害などにより判断能力が不十分な場合には、成年後見人を選任する必要があります。
親族が成年後見人を務めていて、その成年後見人も相続人の一人であるような場合には、未成年者の場合と同様に成年被後見人と成年後見人の利益が相反することになりますので、特別代理人を選任する必要があります。
3 遺産分割協議書の記載
遺産分割協議書に預金等の金融資産を記載する場合、遺産を特定するために、金融機関名、支店名、口座の種類、口座番号を正確に記載する必要があります。
また、不動産を記載する場合も登記簿に記載されている事項を正確に記載しなければなりません。
また、遺産分割協議書の押印は実印で行う必要があります。
さらに実印で押印したことを証明するために印鑑証明書も必要となります。
遺産分割協議書の内容に即して預金等の遺産を分配する場合、各金融機関で預金の解約等の手続きを行いますが、遺産分割協議書に実印の押印が確認できない場合、各金融機関で手続きを受け付けてもらえないため、この点は注意が必要です。