相続税と贈与税の違い
1 相続税と贈与税はそれぞれどのような税金か
相続税は、亡くなった方から一定金額以上の遺産を相続した相続人等が納めるべき税金です。
贈与税は、個人から一定金額以上の財産を贈与された際に、贈与を受けた人(受贈者)が納めるべき税金です。
2 相続税と贈与税の役割
相続税は、被相続人が死亡した時点で発生します。
そのため、相続税は、被相続人が死亡した時点で所有していた財産の額に応じて課税されます。
ということは、生前に自分の財産を贈与して、所有する財産を減らしておけば、相続税を減らすことが簡単にできることになってしまいます。
そこで、国は、生前に自分の財産を贈与することについて、別途、贈与税を課税することにより、簡単に相続税を減らすことができないようにしています。
このように、贈与税には、相続税の課税逃れを防止するという役割、つまり、相続税を補完する役割があるといわれています。
なお、相続税法という法律はありますが、贈与税法という法律はありません。
相続税法の中に贈与税に関する規定が定められているので、法律の立てつけとしても、贈与税は、相続税を補完する税金として位置付けられているのです。
3 相続税と贈与税の申告期限の違い
⑴ 相続税の申告期限
相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月後です。
相続税は、相続財産の総額が「3000万円+600万円×法定相続人の人数」という計算で算出される基礎控除額を超えた場合に課税されます。
この場合には、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に申告する必要があります。
⑵ 贈与税の申告期限
贈与税の申告期限は、毎年3月15日です。
贈与税は、毎年1月1日から12月31日までの間に110万円以上の贈与を受けた場合に課税されます。
この場合には、翌年3月15日までに、受贈者の住所地を管轄する税務署に申告する必要があります。
4 相続税と贈与税に関するご相談は税理士へ
相続税を減らす目的で、生前贈与を行う方もいらっしゃいますが、生前贈与の金額が多額になれば、相続税よりも贈与税が高額になることもあります。
有効に相続税対策を行うためには、贈与税額がどの程度となるかのシミュレーションをして、合理的な金額での贈与を行うことが重要です。
相続税対策のため、生前贈与をお考えの方は、一度税理士にご相談いただくことをおすすめします。