遺産分割協議とは? その進め方について(遺産の評価方法)
1 はじめに
『遺産分割協議』の進め方について基本的な内容のご紹介をさせていただきたいと思います。
『遺産分割協議』をおこなう前提としては、
③ 遺産の評価を行なう。
④ 具体的相続分を決める。
があげられます。
今回は、「③遺産の評価を行なう。」について、その評価方法について紹介いたします(評価基準については、こちら。)。
2 「遺産の評価基準方法」について
⑴ 「②遺産の範囲」で決めた遺産について、その遺産の「評価基準時」を決めた後、遺産の評価方法について相続人間で決めていくことになります。
<不動産の評価>について
不動産の評価についての公的な基準としては、主に以下の4点があげられます。
① 固定資産税評価額
② 公示価格
③ 都道府県地価調査評価基準
④ 路線価(相続税評価額)
⑵ ① 固定資産税評価額は、不動産が所在する自治体より取得します。
なお、「固定資産課税台帳登録事項証明書(名寄帳)」によって、被相続人について各自治体で管理をしている不動産の評価額を知ることができます(参考・広島市)。
⑶ ② 公示価格は、国土交通省にて特定の標準地について毎年1月1日を基準日として公示する価格となります。
地価公示価格は、国土交通省の「不動産情報ライブラリー」で調べることができます。
該当不動産の近隣地の標準値を参考にその土地の評価価額の参考とします。
また、公示価格自体も実勢価格との間で乖離があり、都市部にいくほど、その乖離率は大きくなるようです。
⑷ ③ 都道府県地価調査評価基準は、林地や山林の評価では参考となります。
この評価基準も国土交通省の「不動産情報ライブラリー」で調べることができます。
⑸ ④ 路線価(相続税評価額)については、相続税や贈与税等の算出の基準として、国税庁から公表されています(国税庁HP)。
路線(道路に面した土地)1㎡あたりの評価額(単位千円)が示されています。
たとえば、「路線価450」との表示があれば、その道路に面した土地は、45万円/㎡となります。
3 「不動産鑑定評価」について
① 固定資産税評価額
② 公示価格
③ 都道府県地価調査評価基準
④ 路線価(相続税評価額)
の評価について、相続人間で合意が得られれば、その評価に基づいて遺産(不動産)の評価がなされます。
しかしながら、相続人間で合意が得られない場合、遺産分割調停、遺産分割審判では、不動産鑑定士による『不動産鑑定評価』によります。
鑑定に費用を誰が負担するのか、誰が予納するのかで問題となることがあります。たとえば、不動産鑑定を望まない相手方が鑑定費用は払わないと言ってくることはよくあります。
鑑定費用については比較的高額になる傾向があります(数十万円~)。
そこで、不動産鑑定の費用の負担について、述べておきたいと思います。
鑑定人の費用については、「公共事業に掛かる不動産鑑定報酬基準」(国土交通用・不動産鑑定評価基準)などを参考として、事前に鑑定評価報酬が見積もられます。
不動産鑑定の費用については、裁判所にあらかじめ予納をすることになります。
本来、法定相続分に基づいて負担をすることが原則ですが、鑑定を望まない相手方(不出頭を含む。)の場合、申立人(不動産鑑定を望む側が多い。)が立て替えて支払うことになります。
(遺産分割、遺留分侵害等)調停が成立する場合には、不動産鑑定の費用の負担について当事者で合意をしない場合には注意が必要となります。鑑定の費用負担について定めなかった場合には、最終的に鑑定費用を支出した人の負担となります(家事事件手続法28条1項)。
(遺産分割等)審判がなされる場合には、鑑定費用についても費用負担の定めがなされます(家事事件手続法29条1項)。
4 さいごに
遺産分割協議において、相続財産の評価は頻繁に問題となります。
相続人の取得額に大きな影響を与えることが多いため重要な事項の一つです。
そのため、相続案件にも慣れた弁護士にご相談をされることをオススメいたします。