遺産分割協議とは? その進め方について(相続人調査)
1 はじめに
『遺産分割協議』とは、亡くなられた方の財産について、「誰が」「どの財産を」「取得するか」を法定相続人全員で話し合って、合意をすることです。
そこで、『遺産分割協議』の進め方について基本的な内容のご紹介をさせていただきたいと思います(今回は、「①相続人を確定させる。」について)。
『遺産分割協議』をするにあたっては、話し合いの前に前提を調査しなければいけません。
その前提の概略は、
① 相続人を確定させる。
② 遺産の範囲を確定させる。
③ 遺産の評価を行なう。
④ 具体的相続分を決める。
ということになります。
2 「①相続人を確定させる」ための調査
今回は、「①相続人を確定させる」ことについて述べます。
相続人を調査するにあたっては、
● 亡くなられた方(被相続人)の「出生から死亡までの戸籍謄本等」を自治体の窓口で取得することから始めます。
戸籍謄本は、本籍がある(過去にあった)自治体で取得します。
● 被相続人の「出生から死亡までの戸籍謄本等」から、配偶者(夫・妻)やお子さん、被相続人のお父さん、お母さん、被相続人のご兄弟姉妹の情報を必要に応じて調査(戸籍等の収集)していきます。
● 手に入れた「戸籍謄本等」から民法のルール(民法887条、同889条、同890条)に従い、法定相続人を確定させることになります。
業務で「相続人調査」をしていてよくあるのが、親戚間の関係が途絶えていたりすると、法定相続人がどこに住んでいるかが不明なことです。
そこで、法定相続人の戸籍情報等(たとえば本籍地)から、本籍地のある自治体から「戸籍の附票」を取得します。「戸籍の附票」の取得によって、法定相続人の住所を把握することができます(本籍地が変わっている場合には、さらに調査が必要です。)。
3 法定相続人の確定について
法定相続人については、民法887条、民法889条、民法890条に定められています。
※ 被相続人の配偶者(夫・妻)は常に相続人になります。
<第1順位>(子)
被相続人に子供がいる場合、その子は第1順位の相続人になります。
被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したときには、その者の子が代襲相続します(子が相続人の欠格事由に該当した場合、廃除によって相続権を失った場合も代襲相続します。)。
<第2順位>(親など)
第1順位の相続人がいない場合、被相続人の親(親が既に亡くなっている場合には、祖父母。祖父母も亡くなっている場合には曾祖父母)が相続人となります。
<第3順位>(兄弟姉妹など)
第1順位、第2順位の相続人がいない場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。
なお、第3順位の相続人の場合、その者の子についてのみ代襲相続が発生する形で限定されています。
4 さいごに
相続は誰しもに何らかの形で発生します。
「遺産分割協議」については、一つ一つ手順を踏み、しっかりとした話し合いができるように準備をすることが大事です。
「遺産分割協議」を前提として、相続人の調査、相続財産の調査についても弁護士業務として行ないます。そのため、相続案件に慣れた弁護士にご相談をされることをオススメいたします。